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カスタマーサクセスオペレーション – 今もっともアツいキャリアの一つ

この記事は、Customer Experience Magazineに掲載されたものです。

ほぼすべての企業が「クラウドから生まれた」、あるいはSaaSベースの経常収益ビジネスモデルに転換している今日の経済状況において、ほぼすべての企業がカスタマーサクセス(CS)への投資なくして成長を加速できないことに気付いています。つまり、顧客のケアを行い、顧客が価値、成果、ROIを達成していることを確認し、最終的には顧客のチャーンを防ぐことができるCSチームの設立を意味します。

CS組織の基礎を構築する場合、多くの企業が同様な戦略をとっています。カスタマーサクセスリーダーを雇用し、カスタマーサクセスマネージャ(CSM)を導入し、カスタマーヘルススコアやプレイブックなどを自動化するCSソフトウェアを購入する。そうすれば、自ずとうまくいく、というものです。

そして、正直なところ、それはうまくいきます!カスタマーサクセスに投資している企業は、解約を減らし、NPSと顧客満足度を高め、成長を加速させることが実証されています。しかし、規模が拡大するにつれて、どの企業も最終的にはある非常に重要な要素「カスタマーサクセスオペレーション(CS Ops)」が欠けていることに気づきます。

考えてみればとても単純なことです。 セールスオペレーションやレベニューオペレーションががない状態で、営業チームの規模を拡大することを想像できますか?あるいは、マーケティングオペレーションなしにマーケティングチームを拡張することは可能でしょうか?できなくはないと思いますが、最も重要な2つのビジネス機能の効率と効果に重大な影響を与えることになります。同様なことをCSに置き換えて考えれば簡単です。CS オペレーションチームなしには、最高の成長を達成することはできないのです。5 人目の CSM を採用したら、次の数人の CSM を採用する前に、または代わりに、最初の CS オペレーションメンバーを採用することも考えていきましょう。

CSオペレーションが何をするのか、なぜ現代のビジネスにとって重要なのか、なぜカスタマーサクセスの分野で最もホットなキャリアになったのか、少し掘り下げて考えてみましょう。

CSオペレーションが今、重要である理由

近年、デジタルツールを活用して、よりパーソナライズされた顧客体験を大規模に提供する方法に注目が集まっています。従業員を強化するための適切なツールやソフトウェアがなければ、企業規模を拡大することはできません。CRM、マーケティングオートメーション、CSソフトウェアなど、どのようなミッションクリティカルなソフトウェアプラットフォームを導入するときも、それらから最大限の価値を引き出すには、ソフトウェアだけではなく、ツールの可能性を最大限に引き出し、規模を拡大して効率性を高め、最高の投資対効果を達成するための運用エキスパートが必要となります。

CSオペレーションズの役割

カスタマーサクセス組織をオーケストラに例えて考えてみましょう。CSリーダーは楽曲を作成しますが、演奏を「指揮」するのはCSオペレーションチームで、顧客データ、CSソフトウェア、CSチームなど、あらゆるものが調和し、整合性が保たれていることを確認します。このチームなしには、規模に応じた機能を発揮することはできません。

また、CS オペレーションチームが行うことの多くがCSMの日々の業務の成功を左右します。データと顧客プロファイルに基づき、CSMが担うべき最も効果的なタスクは何か?このメッセージを発信するために、彼らはどのようなチャネルを使うべきか?具体的にどのようにして顧客に最も価値あるもの、最良の結果を提供するのか?

ここでは、組織の規模を拡大するために CS 運用チームが担う中核的な機能と役割について説明します。

  • CS活動のロードマップを計画
  • ビジネスの成長に合わせて拡張可能なデジタル主導のシステムとツールの企画、作成、管理
  • ハイタッチおよびデジタル主導のCSモデルやプログラムを統合するためのベストプラクティスの開発
  • 製品チームと連携し、アプリケーション内で顧客が効果的に関与していることを確認
  • CSMが最高の仕事をするために必要なツールやプロセスを提供
  • すべてのデータサイエンスとレポーティングを管理
  • データから実用的なインサイトを作成
  • 一対多のCSアプローチ(バルクメール、アプリ内エンゲージメント、イベント、コミュニティなど)を実行するための仕組みとプロセスを構築
  • CSリーダーシップに対する戦略的コンサルティングの提供

CS オペレーションを導入するタイミング

CSM の人数が 5 人を超えると変曲点に向かっており、単に CSM の人数を増やしても貴社や顧客が求める結果や財務的リターンを得ることができなくなる可能性があります。

まず、CSオペレーションに週 4~8 時間従事する担当者を雇用することから始めることができます。この一時的なの担当者は、他のオペレーションチーム(たとえば、営業やマーケティングなど)と兼任するか、契約ベースで雇用することができます。たとえわずかなCSオペレーションリソースであっても、顧客対応に大きな力を発揮することができます。そして成長を続けるうちに、いつフルタイムのリソースを雇用する必要があるかについての洞察とデータポイントを得ることができるようになります。

このようなサイクルがますます速くなるにつれて、データアナリスト、ワークフロー分析、システム分析、デジタルツールの管理者など、完全なCSオペレーションチームのさまざまなパーツを構築し始めることになります。

結論

ビジネスの規模にかかわらず、CSオペレーションチームの設置、または少なくともその構築計画なしに、戦略を実行することは容易ではありません。また、お客様に最高の体験を提供することと同様に、プロセスやシステムに情熱を持つ人にとっても素晴らしいキャリアコースとなるでしょう。

和久井 かおり/Gainsight 株式会社 カスタマーサクセス ディレクター
和久井 かおり/Gainsight 株式会社 カスタマーサクセス ディレクター

慶應義塾大学卒業後、大手ハードウェア企業のエンタープライズ営業として新規と既存営業の業務を経験。その後スタートアップ企業にて様々なロールを経験する中でカスタマーサクセスというコンセプトに出会い、惚れ込む。2015年からはアドビにてカスタマーサクセスに従事。担当カスタマーサクセスマネージャー、カスタマーサクセス部門のマネージャー、シニアマネージャーを経て、カスタマーサクセスの実行とそれを実現するために必要な要素/組織について学ぶ。2022年にGainsight Japanに入社し、カスタマーサクセスチームを牽引。